× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
吉野弘「生命は」
生命は 自分自身だけでは完結できないように つくられているらしい 花も めしべとおしべが揃っているだけでは 不十分で 虫や風が訪れて めしべとおしべが仲立ちする 生命は その中に欠如を抱き それを他者から満たしてもらうのだ 世界は多分 他者の総和 しかし 互いに 欠如を満たすなどとは 知りもせず 知らされもせず ばらまかれている者同士 無関心でいられる間柄 ときに うとましく思うことさえ許されている間柄 そのように 世界がゆるやかに構成されているのは なぜ? 花が咲いている すぐ近くまで 虻の姿をした他者が 光りをまとって飛んできている 私も あるとき 誰かのための虻だったろう あなたも あるとき 私のための風だったかもしれない PR |
|
トラックバックURL
|